岩田語録

ボリショイバレエ団史上、初の外国人ソリスト、岩田守弘。

このビデオの中で語られている印象的なことばです。
世界最高峰のバレエ団でのきびしい現実も垣間見えます。

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10:25
「バレエは体が動かないと表現できない
だから若いうちだけの芸術なんですね。
だけど人間性は熟してくる
それは年齢に伴ってくるものだから
そういうのを僕らが踊りっていう」

11:13
肉体を酷使するバレエの世界
アクシデントは日常茶飯事だ

11:35
イン・ザ・アッパー・ルーム
今回の作品はボリショイが近年始めた
物語性のない前衛的な作品
クラシックバレエと違い1時間の公演の間中
休みなく踊り続けなければならない
大半のダンサーが二十代の中で
岩田は最年長の38歳
体力的には極めて厳しい
しかし、ペース配分など考えない
全力で踊る
若手ダンサーが足に痙攣を起こした
体力のある若手でも耐えられない激しい踊りの連続
岩田もたまらず倒れこんだ
それでもまた立ち上がり踊り続ける
全てを振り絞って踊る理由がある

舞台には、すべてが出る

「舞台では絶対その人のことが見えちゃう
舞台っていうのは丸見えですよね
どんな人か 今何を考えているのか
自分を格好よく見せるだけの人と
本当に格好いい人と
すごい計算しているなとか
やさしい人だなとか
それは丸見えですよね 全部丸見え」

14:58
「ボリショイで踊るのは楽しいです
でも難しい
ボリショイで踊るのはすごく難しい」
「ボリショイの劇場も難しいし
観客も難しい
あれは普通の建物じゃない
あれは生きものって感じがする
だから、世界的な大スターが
ボリショイで全然実力を発揮できなかった時とか
でも逆に自分じゃ思ってもみないことができる時とか」

16:35
「上半身がきれいというのはロシアバレエの最高のところ
普通バレエと言えば足を上げるとか
いろんな足のポジションがあるんですね
すごくみんなそれに意識が集中しがち
ところがロシアのバレエというのは上体をすごく使うんですね
それはロシアが伝統的に大切にしているところ」
「(チャイニーズドールの開脚ジャンプは)すごくない
これは派手なので、ひとつの装飾品
本当にすごいのは、出てきてちゃんと立っていて
お客さんに何を伝えられるのかというのが大切」

28:40
「苦しければ苦しいほどいい
そうすると磨かれていくじゃないですか
外からも中からも
思うに、人間はいい時が重なっている時は
結果は出るけど成長してないと思うんです
悪い時に絶対成長してる
いいことばっかりだと心が遊んじゃうんですね
役がもらえない時とか自分に辛い時というのは
逆にすごくご褒美、宝物なんですね
そういう経験をした人が
本当にひとを感動させられる踊りをする人たちだから

29:50
9月下旬
岩田は突然、芸術監督に呼び出された
10分後
「役、くれた
こういう時もあるんですね
久しぶりだな
ははは。これはご褒美ですね」
これまでやったことのない新しい役が言いわたされた
演目は『明るい小川』
旧ソビエト時代の作品で
地方の農村を舞台にした喜劇
ボリショイの人気演目のひとつだ
岩田の役は都会から農村に慰問にやって来たアコーディオン奏者

今回の岩田の役を決めたのは
芸術監督のラトマンスキー
ボリショイでは引退がちらつくダンサーに
新たに役を与えるのは異例だという
「彼なら全く新しい踊りを見せてくれると思い決めました
ダンサーとしての本能と技術を
信じているのです」

2週間後、芸術監督のラトマンスキーに踊りを見せることになった

部屋に戻ると、同僚が待っていた
岩田より6歳年下の同じ第一ソリスト デニス・メドヴェデフ
突然、悩みを打ち明け始めた
「僕たちの仕事は肉体的に最も辛い仕事だよな」
「辛いのは肉体だけじゃないしね」
「そう、精神的にも辛いよ」
「役をもらえるか常に心配がつきまとう」
「一つの役に10人ものライバルがいて
一番優れていることを証明しなければならない」
最近、若手ダンサーの台頭で出番が減っていた
「感情が渦巻いて、辛いよね」
新しい役をもらっても、期待に応えられなけれは
すぐにとって代わられる
それがプロのダンサーの現実だ

芸術監督ラトマンスキーに踊りを見せる日が来た
ラトマンスキーが岩田に託した新しい表現
その期待に応えることができるか
「モリ、始めようか」
「踊り出しが早い」
突然、ラトマンスキーが止めた
足をもっと高く上げて
注意したのは足を上げる高さだった
「モリ、いいぞ!」
開始からわずか6分、ラトマンスキーが終了を告げた
「これなら大丈夫だ
新しい役ができます
すべてOKです」
ラトマンスキーは岩田の役づくりにOKを出した

42:25
プロフェッショナルとは
「冷たい目で見られても
舞台がどんなでも
穴があいてようが寒かろうが
どんな時でも、どんな場所でも
周りがどんなでも
自分のすることをしっかりできる人」

 

 

 

 

 

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