smarthistoryから、ビデオの解説を試訳しました。
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板絵、テンペラ、
(マドリード・プラド美術館蔵)Speakers: Dr. Beth Harris and Dr. Steven Zucker
解説者:Dr. Beth Harris and Dr. Steven Zucker
The Annunciation is described in the Gospel According to Luke 1:26 through verse 38.
受胎告知は、ルカによる福音書1章26節から38節に記述があります。
==Speech in video clip /ビデオの中の解説==
私たちは今、スペイン・マドリードのプラド美術館にいます。フラ・アンジェリコの受胎告知を見ています。フラ・アンジェリコの受胎告知と言えば、皆さんはイタリア・フィレンツェのサンマルコ修道院にあるフレスコ画を思い浮かべるのではないでしょうか。このプラドの絵画は、フィレンツェにほど近い教会のために描かれました。
この絵画は特別です。オリジナルの枠と、主要パネルのみでなく下部のプレデッラも残っているからです。枠もすべてオリジナルで、このようによく保存されている例を他で見たことがありません。通常、プレデッラは切り離され、別々に売られてしまいます。
旧約聖書からアダムとイヴの場面が描かれています。二人は天使によってエデンの園から追放されています。実際、この場面は、受胎告知の場面と共に描かれ、左上の神の手から聖なる光と鳩つまり精霊が放たれ、それを列柱のすぐ左に見ることができます。つまり、キリストが存在する理由である原罪を表しています。アダムとイヴを、聖母マリアとキリストの前兆として見ているのです。原罪を引き起こした男女と、救済を可能にした聖母マリアとキリスト。父なる神は、古代ギリシャ・ローマ風のレリーフで、列柱の中央上部から見下ろしています。
下部のプレデッラは、非常に要約された聖母マリアの生涯が描かれています。誕生に始まり、ヨセフとの結婚、エリザベートの訪問、そして死。これらは、ある意味、それぞれ後の物語を説明しています。様式的に、この場面でフラ・アンジェリコが静寂と厳かな域に到達することができたが重要だと思います。天使がマリアの下で腰を低くしています。両手は、祈りのために交差して、敬意を表しています。マリアは自分の両手でそれを投影しています。
濃密に描かれたエデンの園に心を奪われます。果物や花々、足下のすばらしい非遠近法で描かれた花園。一方、飾り気のない建築物。両方ともそれぞれの空間より大きく描かれています。マリアが立ち上がったら、頭を天井に打ってしまうでしょう。どれひとつとっても、それほど重要ではありません。それは、神を表すために、畏敬に満ちた作り出された美への探求だからです。
この絵画は、マザッチオがブランカッチ礼拝堂に描いた絵画と同時期のものです。つまり、両者は、フィレンツェで根本的に異なる手法を同時期にとっているのです。これは、ルネサンスの画家すべてが、自然主義に向かってまっすぐに突き進んでいたのではなく、多様な様式があったことを物語っています。マザッチオがほとんど数学的に正確な表現を探求していた一方、フラ・アンジェリコは、キリスト教の教えを表現することで装飾性と霊的なことを重要視していたのです。よく見ていくと、影が描かれていません。マザッチオの絵画に見られる鮮烈な立体表現のようなものがありません。顔の表現にも特異性や個性が見受けられません。ところが、装飾には特異性が描かれています。たとえば、天使の翼や光輪の金箔、または、エデンの園の木の葉など、非常に壮麗です。
…. Museo Nacional del Pradoによる来歴 ….
Provenance
Convento de Santo Domingo, Fiesole, 1425/28-1611; duque de Lerma, para la iglesia de los Dominicos, Valladolid; pasó al monasterio de las Descalzas Reales, Madrid; desde donde ingresó en el Museo, 1861.
1425/28-1611: イタリア・フィエーゾレ、聖ドメニコ修道院
[ ]: スペイン・バリャドリッド、レルマ公爵
[ ]: マドリード、ラス・デスカルサス・レアレス修道院
1861 : プラド美術館