Voxの記事の「試訳」

原文はこちら: http://www.vox.com/2016/5/1/11549262/obama-white-house-correspondents-dinner

The joke was that Obama wasn’t joking
実は
オバマ大統領の本音だったジョーク

「言葉に出しては言えないけど、それが事実だってわかってるでしょ」と、にっこりしながら記者たちに語った。ここで言いたいことは明らかだ:私の支持率は上がっていく。失業率は今年5%を切った。私の経済改革は身を結び、何百万もの国民がオバマケアの恩恵を被っている。そして、共和党はドナルド・トランプのような人物を大統領候補に指名しようとしている。私でどんなにラッキーだったかわからないだろう。

大統領が本音を発言できる唯一の機会が、ホワイトハウス記者クラブ晩餐会なのだ。本音とは:私はこの仕事にかなり向いていて、恐らく1年もすれば皆さんもそれに気がつくだろう。

そして、次にこの発言:

「あと6ヶ月という短い期間に、私は正式にレームダックになる。つまり、議会はあからさまに私の権威を否定し、共和党リーダーたちは私の電話を取らなくなるだろう。そして、この状況に少し慣れていく。実際に、カーブボール(策略)を受けて、どう対応したらいいかわからなくなる。もちろん、実は、すでにこの4ヶ月間、議会共和党は任期最後の年に私ができないことがあると言い続けている。だが、残念ながら、この晩餐会は違う。」

オバマ大統領は明言した。共和党が2010年に下院を奪還してから、いや、今年の米連邦最高裁判事候補者指名争い以来、共和党の非協力的な態度は、何世紀にも渡り連邦政府を機能させ続けてきた民主党の名誉に対して、行政の主導権を道義に反して腐敗させたという見方までしている。次期大統領候補が党から指名される何ヶ月も前から、正式に選挙で選ばれた大統領を、不当にもレームダック扱いしてきた。オバマ大統領の発言はジョークに見せているが、(文面上とは反対の意味を込めているので、おもしろい。)長年乗り越えようとしてきた冗談ではない事柄を皮肉交じりに語っているだけなのだ。

次に、歯に絹着せぬ復讐劇のように続けた:

「実は、ここに共和党上院議員がいる。ティム・スコットとコリー・ガードナーだ。ハウス(下院/家)にいるが、それで思い出した。警備担当、ドアを閉めてくれ。メリック・ガーランド(最高裁)判事、出てきてくれ。ここでやってしまおう。今すぐに。

レッド・ウエディングのようなものだ。」

[米国では、判事が結婚式を執り行う]
[レッド・ウエディング:血のウエディング。ゲーム・オブ・スローンの残酷な殺戮の場面]

オバマ大統領はジョークで、晩餐会会場のワシントンヒルトンに記者クラブから招待された共和党上院議員のティム・スコットとコリー・ガードナーを、部下に殺害させると言っている。心優しくからかっているが、それは激怒とフラストレーションの上に成り立っている

このようなョークは、共和党に対してだけに限ったことではない。スピーチの初めめの方でも語っている:
「申し訳ない。少し遅くなってしまった。白人が言ってはいけないことを表すCPTで遅くなった。」

これは、ヒラリー・クリントンとビル・ド・ブラジオによる「colored people time」につての雑談を軽くジョークにしているわけではない。オバマ大統領は無表情で語った。ジョークだが、その意味するところはジョークではなかったのと同じだ:白人は黒人が遅くなることをジョークにするものではない。やめろ。 [CPC: アフリカ系アメリカ人は遅刻するという固定観念を表す米語]

メディアに対してもそうだ。オバマ大統領は最も辛辣な批判をこの晩餐会を企画した記者に向けた:

「記者でさえ私を置き去りにした。サバンナ・ガスリーは、ホワイトハウス記者団を去りTodayに出演している。ノーラ・オドネルも記者会見室を去りCBS This Morningに移った。ジェイク・タッパーはCNNに移籍した。

受賞歴のある記者が今晩出席していることを発表させていただく。レイチェル・マクアダムス、マーク・ラッファロ、リーヴ・シュライバー。これまで大変お世話になりました。冗談です。ご存知のように、「スポットライト」は調査ジャーナリストが題材と自律性をもって真実を掘り下げた説得力のある映画だ。スターウォーズ以来の最高の物語だ。

いや、多分それは不当だ。ニュース業界はこのところ厳しい状況にあると聞いている。常に変化し続けている。毎年、この晩餐会で誰かが、たとえばバズフィードがメディア業界を変えているのをジョークにしている。そして、ワシントンポストが毎年、笑えなくなってきている。しらけたムードがそこにある。特にワシントンポストの席にだ。

ドナルド・トランプの話題にあまり時間を割きたくない。みなさんを見習って、私も少し慎みます。それは、最初から候補者としての真剣度に見合うだけメディアが取り上げてきたことは、大方が認めるところだと思うからだ。どうだ。みなさんはさぞや得意になっていることでしょう。ドナルド・トランプは最初自分のホテルビジネスに活況をもたらしたいと考えていた。そして今、我々は7月のクリーヴランドで成就することを願っている。」

慣例通り、オマバ大統領は演説の締めくくりに、メディアの役割に感謝し、「スポットライト」の実際の記者(サーシャ・ファイファー、マイク・ルゼンデス、ウォルター・ロビンソン、マット・キャロル、ベン・ブラッドリーJr)、近頃解放されたワシントンポスト記者のジェイソン・レザイアンを賞賛した。

ただし、その前に、メディアの失態に対する慎み深いとはとても言えない批判を行った。メディアは失踪した航空機にいつまでもとらわれ、また、最高裁判決のような基本的な事実を誤報道した(CNNについて掘り下げた)。メディアはニュースの題材を真剣に調査することまではしない。老舗の新聞社は、バズフィードのようなウェブサイトと競合しようと時代に順応することはない。どのメディアもドナルド・トランプにプラットフォームを提供し、選挙戦の中で危険な人種差別先導家を持ち上げた。

ブルース・バナーの発言を借りると、オバマ大統領が隠しているのは、常に怒っているということだ。少なくとも、上に取り上げたことに関しては。ただ、ホワイトハウス記者クラブの晩餐会は、唯一大統領が怒りを表すことが許される週末で、それは、記者が1年でこの日だけは、怒りに気がつかないふりをする約束をしているからだ。